こんにちは。教材編集者×プロ家庭教師のあんです。
英語を勉強するにあたって、文法学習は欠かせません。
だからこそ、自分にぴったりの文法書を選んで英語学習を楽しんでほしい。効率的に基礎固め(=文法学習)をして、さくさくっと次のステップに進んでほしい。
以下の文法書は、どれも信頼のできる文法書ばかりです。そして記事を書いた私自身、現役の編集者で、執筆をしたり校正をしたりするときにはつねに文法書とにらめっこしてばかりで、どれもお世話になっているものばかりです。
それぞれの文法書で個性が違います。編集者目線で、「これぞこの書籍の個性だな」とチェックしたポイントを列挙してみたので、ぜひ自分にぴったりの文法書を探し出してください。
本当に文法学習は必要なのか?
英語を使えるようになるためには、英語の共通認識を知っていたほうが断然有利です。
「文法なんて知らなくても英語環境に入っちゃえば英語できるようになるよ」と主張するひともいますが、ことばの使い方に共通性がある以上、いつかはその共通性に則ってコミュニケーションを取らなければならなくなりますし、ニュースなどで情報を習得するにしてもその共通性を知っていったほうがスマートに理解が進むことは確かです。
自己流のめちゃくちゃな英語をいつまでも使っているより、まずは英語の共通認識を早い段階で見出してしまいましょう。
自分に合った文法書の選び方
英語をゼロから勉強し直す場合
とにかく楽しく取り組めるものを選びましょう。
おすすめは、解説がわかりやすく書いてあって、確認問題がついているようなもの。読むだけだとわかった気になって終わっちゃうことが多いので、ちゃんと確認問題を解いて英文法を自分のものにできたという実感をもてることが大切です。
分厚い参考書を選ぶときは、ただただ文字の羅列がしてあるんじゃなくて、イラストを使ったりしながらネイティブの感覚をちゃんとおしえてくれるものがおすすめです。高校時代の英文法書の代名詞といったら『Forest』(←『Evergreen』の昔のバージョン)だとおもうんですが、ああいう辞書的な英文書は初心者は挫折してしまう可能性が高いため、おすすめできません。
忘れかけている文法の確認をする場合
分厚い参考書を選んでも問題ありません。ただ、気をつけてほしいのは、「読む気になるかどうか」。
読んで、理解して、使いこなしてこそ、英文法を勉強する価値があります。「なんだか理解できないな」と思ったら、その文法書はあなたに向いていないといえます。
文法書の正しい使い方
文法書の内容を100%暗記する必要はありません。
文法書の目的は、あくまでも、英語の共通認識(=ルール)を理解することにあります。
これはわたしの個人的な感覚ですが、書かれていることの80%ぐらいがわかれば「よし、わかった!」と自信をもっていいと思います。あとは文法演習やリーディングやリスニングに取り組むなかでわからないことがあったら都度立ち戻ればよしとして、割り切ってしまいましょう。
おすすめの文法書
これまで使い倒してきた文法書のなかから、厳選したもののみをご紹介します。
高校英文法をひとつひとつわかりやすく。
書籍名 | 高校英文法をひとつひとつわかりやすく。 |
著者 | 富岡恵 |
金額 | 1,100円+税 |
ページ数 | 本体152ページ+解答解説28ページ |
タイプ | 解説+問題演習 |
やわらかいわかりやすい解説とイラスト図解で解説されています。図解が直感的で本当にわかりやすいし、1回分の解説はたったの1ページなので、精神的な負担も少なくなっています。ページ数が少ないのに必要最低限の文法がちゃんとマスターできるのも魅力。
1ページ解説が続いたあとは、1ページ基本問題を解く仕組みになっています。さらに、単元の区切りごとに入試問題がついていて、反復演習が可能なので、英文法が定着します。
ただし、三単現のsや過去形の不規則変化など、中学で習う文法はさらっと説明されているだけなので、基礎の基礎からもっと丁寧に勉強したい場合は『中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。』がおすすめです。
肘井学の ゼロから英文法が面白いほどわかる本
書籍名 | 大学入試 肘井学の ゼロから英文法が面白いほどわかる本 音声ダウンロード付 |
著者 | 肘井学 |
金額 | 1,400円+税 |
ページ数 | 296ページ |
タイプ | 解説+問題演習 |
解説1つの段落につき、説明は3行までにきゅっと凝縮。そして、全ページフルカラー。ハードルが高く感じてしまいがちな英文法もすっきり感じることができます。
解説のあとは基本的な練習問題で、知識の定着を図れ、さらに、分野ごとに英文法の全体像を示す英文法の見取り図が用意されています。常に「今なんの勉強を意識しているのか」をを意識することができるので、学習の充実感を感じられます。
一億人の英文法
書籍名 | 一億人の英文法 |
著者 | 大西泰斗/ポール・マクベイ |
金額 | 1,800円+税 |
ページ数 | 682ページ |
タイプ | 辞書・読みもの |
大きい区分としては「分厚い文法書」ですが、専門書のような堅苦しさはなく、イラストや図解が気前よく使われています。ムダに文法用語を使わず、ビジュアルで理解できるようになっているのでわかりやすく読むことができ、「英語って簡単なんだ」「英語っておもしろいじゃん」と感じられます。
なによりも特徴的なのは、ネイティブの感覚がわかる「話すための文法書」になっていること。公式の著者コメントに「従来の学校文法では—多くの方がすでに気がついておられるように—英語を『自由に話せる』ところまで理解することはできません。『to不定詞の名詞的用法』や『動名詞』など、細かな文法規則を暗記しても、英語というシステム全体をつかむことはできないからです。」とあるんですが、まさにそれを体現した文法書になっています。
わたしは留学2回経験済の教材編集者なんですが、それでも読み返すたびに新しい発見があります。ネイティブスピーカーの意識がわかります。
総合英語 FACTBOOK これからの英文法
書籍名 | FACTBOOK これからの英文法 |
著者 | 大西泰斗/ポール・マクベイ |
金額 | 1,500円+税 |
ページ数 | 534ページ |
タイプ | 辞書 |
『一億人の英文法』の学校仕様。
『一億人の英文法』と同じくネイティブがもつイメージをしっかり解説しつつも、従来の参考書のように必要な情報が調べられる辞書的な機能も果たしています。
『一億人の英文法』は辞書というよりは読み物的な雰囲気で、解説も従来学校で習う文法の解説とはかなり違った感覚で書かれていて、公式の紹介にも「日本の英語教育を変える、全く新しい英文法書がついに誕生しました。」とうたわれているぐらい、いい意味で変わった文法書なんですが、義務教育を通ってきた日本人にはややクセがあるように感じられることもあると思うんです。その一方で『FACTBOOK』は学校向けにつくられたものなので、義務教育を通ってきた日本人にはなじみがよく、万人向けの使える文法書になっています。
イラストがふんだんに使われているだけでなく、色使いも工夫されているため、難しく感じてしまいがちな英文法を感覚的に理解できます。
English Grammar in Use
書籍名 | English Grammar in Use |
著者 | Raymond Murphy |
金額 | 4,000円程度(洋書のため価格が変動します) |
ページ数 | 320ページ |
タイプ | 解説+問題演習 |
世界中の語学学校で利用されている文法書です。信頼度抜群。まさに世界的ベストセラー。
ネイティブの思考で英語を学べるので「わかりやすい」「あなどれない」ととても評判がよく、実際にアメリカに語学留学した友人が「日本でもこういう教え方をしてくれればいいのに」と本気で嘆いていました。
解説も本当に英語のエッセンスとなるところをギュッと絞り出してくれていてわかりやすいんですが、それと同じぐらい、もしくはそれ以上に、問題演習のページがおすすめです。日本の参考書だと、「こんな英文会話では使わないよな・・・」っていうのときどきあるじゃないですか?それが一切なくて、全部英会話で使える文ばかりだし、問題演習をしながらネイティブの思考も身につくすごい問題集です。
なお、『English Grammar in Use』はイギリス英語で書かれているんですが、同じ内容のアメリカ英語版に『Grammar in Use Intermediate』があります。また、英語にはアレルギーがある、まだ英語が苦手、でもネイティブと同じように学びたいという場合には同じシリーズの日本語版『マーフィーのケンブリッジ英文法(初級編)』がおすすめです。
同じシリーズに7種類の版があるので、くわしくは次の記事を参考にしていただけるとうれしいです。
同じ『English Grammar in Use』でも、解答付きのものと解答なしのもの、オンラインで学べるもの・学べないないものがあるので、購入の際には注意が必要です。
まとめ
基礎固めをじっくりすることが、ネイティブの英語に近づく最短の方法。
自分に合った文法書で「英語がわかる!」を実感しながら楽しく英語を学んでいきましょう。
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