英語の仕事をしていると、「loveは進行形にはできないって習ったけど、マクドナルドのコマーシャルでI’m loving it. って言っているよね?あれってわざと間違えてるの?」という質問をときどき受けます。
結果からいうと、文法としては誤りで、でも完全なる誤りわけではないともいえるんですが、では「どんなときは進行形を使っていいのか」「どんな動詞は進行形にしてはいけないのか」を説明したいと思います。
進行形(-ing形)の基本
まず、進行形の前提として意識してほしいのは、進行形は進行中の動作を表す英語ではありません。
ではなにかというと、今できごとが動いていることを表す形です。
たとえば、
I eat lunch at 12:30 every day.
わたしは毎日12:30にお昼ごはんを食べます。
が毎日の習慣を表すのに対して
I am eating lunch now.
わたしは今お昼ごはんを食べています。
は、まさに「今ごはん食べてるよ」と、今できごとが動いていることを表しています。
まさにこんな感じで、躍動感・臨場感が全開なのが、進行形です。
進行形にできる動詞
文法書では、状態動詞がどうとか動作動詞どうとか説明されていますが、そんなことはどうでもよくて、今できごとが動いていることを表す動詞は、進行形にすることができます。
習慣的な動作ではなく、まさに今している動作を表すときに進行形を使います。
だから、
I live in Tokyo.
わたしは東京に住んでいます。
のように、I live in ~. が「ずっと住んでいる」ことを表すのに対して
I am living in LA now.
わたしはLAに一時的に住んでいます。
のように、I am living in ~. は今だけの動きを表し、「一時的に住んでいる」と表現することができるのです。
進行形にできない動詞
今できごとが動いていることを表す動詞は、進行形にすることができるということは、逆にいうと、今できごとが動いていることを表さない動詞は、進行形にはできません。
例えば
I know the truth.
わたしは真実を知っています。
は正しい英語だけど
I’m knowing the truth.
わたしは真実を知っています。
とはできないんです。
なぜなら、know(知っている)は今できごとが動いていることを表す動詞ではないから。
ほかにも
I’m remembering you.
わたしはあなたを覚えています。
I’m belonging to the futsal team.
わたしはフットサルクラブに所属しています。
のように、思考や感情を表す動詞は基本的には進行形にはできません。
基本的には。
I’m loving it. は本当にダメ?
ここで、気になるのが、マクドナルドのI’m loving it. という表現は明らかに誤っている英語を使ったのか、ということです。
ネイティブの友人に聞いてみたところ
ふつうの会話で唐突に使うことはないけど、”今まさにマクドナルドの気分なんだ”っていうニュアンスで使っているんだと思うよ。
とのことでした。
今英語圏ではlikeを進行形にしたlikingという表現が、本当に少しずつですが使われるようになってきているそうです。
I don’t have a sweet tooth, but I’m liking this cake.
甘党じゃないんだけど、このケーキは好きだな。
のように使われます。この文からは、「ふだんケーキを好んで食べるほうじゃないけど、このケーキは今まさに好んで食べているよ」というニュアンスが感じられます。
これと同じ考え方として、I’m loving it. も成立するということですね。
さらにいろいろと考察
ここまでで、進行形にできるのは今できごとが動いていることを表す動詞、進行形にできないのは今できごとが動いていることを表さない動詞、と解説してきました。
でも本当は、そんな動詞の区分けはない、ともいえるように思います。
たとえば、enjoy、think、be動詞などは、感情や思考などを表す動詞だけど、進行形にすることができるんです。
I am enjoying my time here.
わたしたちは楽しんでいます。
I’m thinking we should give a farewell party to him.
彼の送別会を開かないとと考えているんだけど。
Kate is being mean.
ケイトはふだんはそうじゃないけど、今いじわるな態度をとっている。
なにが進行形にできるのかというのは、理屈ではなく、「今まさに!」っていうことを表現したいかどうかという感覚的なものではないでしょうか。
文法に基づいた理論ではありません。あくまでもいち個人としての考えです。
まとめ
文法の基礎をしっかりすることは大事。
その一方で、言語はそのときそのときで例外や新たなニュアンスが生まれていくものだということが理解できれば完璧です。
進行形になる場合・ならない場合
- 進行形なる動詞:今できごとが動いていることを表す動詞
- 進行形にならない動詞:今できごとが動いていることを表さない動詞
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