【現役編集者が解説】システム英単語(5訂版)の特徴・評判・注意点

編集者という仕事柄、ロングセラーの単語帳は、改訂の時期に「今回はどんなふうになったのかな?」と目を通しています。

『システム英単語』は2019年に最新版に改訂されましたが、変わったのは表紙だけではありません。ますます使いやすくなった『システム英単語』について、編集者の目線でどこよりも詳しく紹介していきたいと思います。

目次

システム英単語とは?

システム英単語は、1998年に発売されてからずっと売れ続けている英単語帳。『英単語ターゲット』シリーズと同じく、受験の必須アイテムとして評判が高い商品です。

書籍名システム英単語 5訂版
金額1,000円+税
レベル基礎~上級

システム英単語の特徴

特徴①:厳選されたフレーズ

システム英単語の最大の特徴はやっぱりフレーズです!

大学入試や中学・高校の教科書など、膨大の量の英語を分析して、いちばんよく出る形でフレーズを掲載しています。

単語って結局のところ、単語一語だけの知識を問われることってそんなになくて、単語の使い方を問われることが多いんですよね。どの前置詞とセットで使うかとか、どういう動詞の形で問われる多いかということを知っていればいるだけ役立つことが多いんですが、これが本当によく研究されているのか『システム英単語』です。

実際に、obligeの61%はbe obliged toという形で使う、substituteの57%はsubstitute A for Bのように、forを伴う、といった具合に、データをもとにしっかりとつくられています。

■分析に使われた英語データ

■どのようにフレーズが分析されているのか

引用:『システム英単語5訂版』前付け

特徴②:厳選された日本語訳

システム英単語は、出るフレーズや出る形だけではなく、出る日本語訳にも徹底的にこだわっています。

たとえば、temptという単語には次のような意味があります。

1.〔悪事をするよう人を〕唆す
2.〔快楽などに人を〕誘惑する
3.〔人を〕(どうしても)~する気にさせる
4.〔人を〕引き付ける
5.〔破壊的な力を持つものにあえて〕挑戦する、立ち向かう

参考:英辞郎 on the WEB

でもね、実はこの日本語では使われないことのほうが多いそうです。

では、temptはどう使われるかというと、『システム英単語』には次のように説明されています。

大学入試でもそれ以外でも、temptに「<人>を誘惑する」という訳語を使うことはあまり多くなく、約1/3はbe tempted to V「Vしたくなる」なのです。

引用:『システム英単語5訂版』前付け

ここまで徹底して分析してくれている英単語帳なら安心できるし、単語の覚えがいがありますよね。

ちなみに、ちょっとだけ小話なんですが、世の中の英単語帳のほとんどはここまではこだわってつくっていません。なぜなら圧倒的な労力とそれに伴う製作費が大きくなってしまうから。掲載する単語まではこだわるものの、使われる形やに意味までこだわった単語帳って本当に貴重です。

フレーズや例文までこだわってつくられている英単語帳

特徴③:出る順

大学入試系の英単語帳というと、『英単語ターゲット1900』が有名ですが、実は『システム英単語』も出る順に掲載されています。

ざっくりいうと、前半は基本英単語が簡単な順に並んでいて、後半は大学入試に出る順に並んでいる、ということですね。

「これ勉強しても意味あるのかなー?」っていう悩みは一切抱えることなく、順序通り勉強していくのがいちばん効率いいのが、『システム英単語』のすばらしいところです。

特徴④:紙面パターン

紙面パターンについては、ほかの『システム英単語』を紹介しているサイトではあんまり語られることがないかもしれませんが、勉強していると「?」って思うのが「あれ?なんかさっきのページと違わない?」ってなることが思います。

どういうことかというと、『システム英単語』の紙面パターンって次の2つがあるんです。

Aパターンは、試験で問われる語法が解説されています。たとえば、reachの場合だったら、上のミニマルフレーズに載っているreach the mountain topという使い方だけではなくて、reach for A「Aをとろうと手をのばす」、within A’s reach「Aの手の届く範囲に」も試験に出るからちゃんとおぼえてね、ということが示されています。

一方で、Bパターンは、そのフレーズだけ覚えておけばひとまずOKという英単語が集められています。

本当は全部同じパターンでつくるほうが編集的には楽なんですけど、必要な情報は詰め込んで、必要ない情報は省くっていう工夫がされているのがナイスです。

特徴⑤:音声

アメリカ英語とイギリス英語が収録されています。

編集者としての観点からいうと、音声を増やすって大変なんですね。ナレーターさんに吹き込んでもらうにも音声を編集してもらうにも費用が発生するし、収録した音の中に雑音が混ざってないかチェックするのもかなりの負担だし。

同じ単語を複数の発音で収録してくれている教材は貴重です。

特徴⑥:スタイリッシュな表紙

昔はカバーがダサかったんですけど(←失礼)、改訂されてスタイリッシュになりました。さらに、カバーだけじゃなくて、カバーをとってもオシャレ。なんとなく洋書っぽい雰囲気になっています。

特徴⑦:関連商品も充実

単語帳を見て覚えるのが苦手っていうひとにオススメなのが、関連商品を使うこと。5訂版にはこれだけの関連商品があります。

たとえば、持ち歩きたいからなるべくサイズが小さい単語帳がいい!というひとのために、同じ内容で小さいサイズの英単語帳もあります。

また、『システム英単語<5訂版>チェック問題集』は演習形式になっているので、問題を解きながら英単語を覚えることができます。

さらに、「ちょっとシステム英単語だとレベルが高いように感じるから、もっと基礎的な単語の勉強からはじめたい」という学習者向けに、Basic版もあります。

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システム英単語の評判

ここまでは編集者目線で『システム英単語』の特徴を解説してきましたが、実際に『システム英単語』を使って学習してみた読者の声を紹介します。

いちばん覚えやすいしセンター〜難関国立二次までこれ一冊で安心

この単語帳で国公立医学部に受かりました!これだけやれば充分です。英語の成績に困ったことはありません。
私はCDを聞き、声に出すことで、上部に載っているフレーズごと音から覚えました。そうすることで、単語の意味から使い方まで一気に覚えることができます。
単語を見ればフレーズが出てくるほどやりました。
フレーズは単語の使われ方の頻度を考慮して作られているため、読解や英作文にも役立ちました。
毎日シス単を聞くことでリスニング力も鍛えられました。
外装も大人っぽくなって、良いですね。
個人的にはカバーを外すと洋書っぽくて好きです。

ミニマルフレーズ(短い例文)は、単語の意味だけでなく、使い方(前置詞や熟語など)を一緒に覚えられて、一石四鳥くらいの勢いです!

システム英単語の注意点

せっかく赤シートがついているのに、隠せる意味(日本語)は1つだけで、すぐその隣に似たような意味が書いてあったり、下にも派生語が書いてあってその日本語も書いてあるから、ついついそっちを見ちゃって単語の意味がわかっちゃうのがもったいないなーと思います。

あと、せっかく左の列に「名?」(=名詞形は?)、「発音?」(=発音は?)って書いてあるのに、右の列の答えが隠せないようになってるのももったいないなーと思います。

最初に上の段のフレーズをおぼえてから、下の段を見て知識を増やしていくのが、『システム英単語』のおすすめの使い方!

他の英単語帳との比較

『英単語ターゲット1900』のほか、東大生も使う『鉄緑会東大英単語熟語 鉄壁』や新進気鋭の『LEAP』『Stock』などとの比較一覧はこちらにまとめています。

まとめ

今回『システム英単語』のレビューを書いていて思ったんですが、『システム英単語』は学習者のニーズに合わせて丁寧につくられた貴重な英単語帳だと思います。

値段はお手頃なのに価値がめちゃめちゃ高くて、編集者からしてみても驚きです。

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