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【現役編集者が解説】東大受験生も使う『鉄壁』の特徴・評判・注意点

教材編集者という仕事柄、プロ目線で徹底的に単語帳を研究しています。

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様々な単語帳を分析する中で、これは「ちょっと英語がわかってる」ぐらいの生半可な知識では作れないと驚愕したのが『鉄壁』でした。あとから詳しく解説しますが、まるで東大生の頭の中が再現されたような単語帳です。

とは言っても、東大のような超難関校の受験生だけでなく、英語を得意科目にしたい学生や英語を学び直したい社会人にもオススメの1冊なので、この記事で紹介させていただきます。

鉄壁とは?

『鉄壁』は、東大合格者を毎年400人以上も出す東大受験専門塾「鉄緑会」発の英単語帳です。

書籍名 改訂版 鉄緑会東大英単語熟語 鉄壁
編者 鉄緑会英語科
金額 2,100円+税

鉄壁の特徴

特徴①:関連付けて脳を整理

例えば、vital(生命の)やrevive(生き返させる)を学ぶセクションでは、次のような図解から解説がはじまります。

語源に関する専門的な内容まで立ち入る必要はありませんが、少なくとも「語根」が持つイメージやre- や -ityのような接頭辞、接尾辞に注目することで単語学習の効果は飛躍的にあがります。それではviv / vit(生命)という語根を含む語をいくつか見てきましょう。

そして、vitalのところでは、

★vit(生命)+ -al<形容詞化>→「生命にかかわる」→「非常に重要な」

続くvitalityのところでは

★vital(生命の)+ -ity<名詞化>

というような説明がちゃんとされています。

これってなにが素晴らしいかって、本当に東大を受験するような偏差値の高い学生ってこういう覚え方をしてて、それが紙面上で再現されてるっていうことなんです。

人間の脳は、バラバラに羅列された情報を記憶することができません。長期的な記憶のためには、個々の知識を関連付け、大きな枠組みの中に位置づけていく必要があるんですが、その手助けをしてくれるのが『鉄壁』です。

▼参考:語源をかわいいイラスト満載でカジュアルに学びたいひとにオススメの本。

特徴②:イメージ化

英語ができるようになるためには聞いたり見たりした単語をイメージできる力が欠かせません。『鉄壁』はこのイメージ化もしっかりサポートしてくれます。

例えば、「曖昧な」という意味をもつ単語をまとめて学ぶセクションに、vague、obscure、ambiguousという単語が掲載されているんですが、この単語の違いわかりますか?

『鉄壁』にはこんなイラストが載っています。


一般的に単語帳っていうと、語法や類義語を文字でがんばって説明しているものがほとんどなので、このようなイラストをふんだんに入れてくれている単語帳って本当に貴重です。

(編集者的な視点でいうと、イラストを入れれば入れるほど、製作費が増えていくんです。だから教材を入れるときにイラストって必要最低限に抑えていく傾向があるんですけど、『鉄壁』は本当に学習者ファーストだなって思います。)

特徴③:おぼえた「つもり」を回避

一般的な単語帳は、本当におぼえられたのか確認するためのページが充実していないものがほとんどです。

『鉄壁』は違います。各ページに1回ずつぐらいのペースでミニクイズのようなコーナーが出てきます。例えば、essential、essentially、essence、indispensable、dispense with、crucialを学ぶページのまとめには、次のようなミニクイズが出てきます。

●正しいスペルは?:1. essential / 2. essencial
●a crucial momentとは?:1. 決定的瞬間 / 2. 短い時間

わかったつもりでいてもうっかり間違えそうな問題に絞っているのがすごいなーと思います。また、もちろん、受験問題を意識して作られているということも、『鉄壁』が『鉄壁』たる所以だと思います。

さらに、1つのセクション(1つの章)を終わらせると、かなりの量のReview Testが用意されています。

次に挙げるのは、一部抜粋したものですが、学習した語の同義語・反意語を答える問題(Same or Opposite?)、学習した語を使った英文に対してYes / Noを答える問題(Yes or No?)、学習した語を使った空欄補充問題(Multiple Choises)などが含まれます。

● Same or Opposite?
1 vital important・・・・・・Same

● Yes or No?
21 You should neglect vital issues.・・・・・・No

● Multiple Choices
42 She ignored her (  ) headache and went to school.
a. vivid   b. significant   c. slight・・・・・・c

単語って、ときにはほかの語に言い換えられたりしながら、結局は文の中で使われるものなんですよね。

その本質をしっかりつかんだテストになっているところに、感心せざるを得ません。

特徴④:語法、熟語表現、用例を網羅

ここまで徹底して計算され尽くした英単語帳なので、語法、熟語表現、用例など、テストに必要な知識はすべて掲載されています。そして、無駄な解説は一切でてきません。

世の中に売り出されている単語帳には、「こんな例文使い物にならないよ」っていうものもありますが、全部使えます!!だから、情報量は多い単語帳なんですが、勉強のし甲斐があると断言できます。

また、情報量は多いんですが、特に覚えておきたい熟語表現や用例の日本語訳は赤字になっていて、赤シートで隠せるようになっているので、「どこから覚えていいかわからなくて不安」という心配は無用かと思います。

鉄壁の評判

ここまでは、編集者的視点で『鉄壁』の特徴をまとめてきましたが、ここで一般の方のレビューもいくつか紹介させていただきます。

言わずと知れた鉄緑会のベストセラー英単語帳で、書店の受験コーナーで平積みされているほど売れています。受験生の間ではシスタンを超えそうな勢いで、東大受験生に限らず、旧帝大レベルの受験生に絶大に支持されています。巧みなイラストが巧みに配置されるとともに、「語幹による芋づる式暗記」「記憶に残りやすい例文」「単語を関連付けてストーリー化」「確認テストでの記憶の強化」など、効率的かつ効果的に覚えるためのさまざまな工夫がみられて、人気の理由が伺えます。 受験用単語帳としては勿論ですが、一般の英語学習者にもお薦めで、この一冊を完璧にすれば、大概の国内英語試験(読解)には対応可能です。

米国のトップ大学院を修了した者です。これまで、英語を効率的に学びたいという複数の方にアドバイスをしてきました。「鉄緑会東大英単語熟語」は、知ってはいましたが「東大」を念頭においた書名が気になり敢えて手に取ることはありませんでした。最近、ある受験生に英語学習についてアドバイスを求められDUO3.0を薦めましたが、「改訂版鉄緑会東大英単語熟語」が出たことを知り手に取ったところ、編集が実に素晴らしい。英単語・熟語の配置が巧妙であることに驚きました。例文数は十分とは言えませんが、一つの単語を覚える度にそれと関連ある単語・熟語が目に入ります。早速、先の受験生には薦めました。

本書は単語についての情報は必ずしも目新しいものではありませんが、その情報を合理的、体系的に整理して最適に編集することで、単語を効率的に学ぶための強力な手段となっています。例文は平易で記憶に残りやすく、単語のニュアンスがどのような文中で使われるかもよくわかる的確な文だと思います。

語源を学んだり、関連づけしながら単語を覚えられるので、社会人の英語学習にも良いです。

内容に関しては文句はありませんが、文字が小さく目が疲れます。
社会人で小さい文字に集中するのは難しい…
サイズアップ版でないかな…

鉄壁の注意点

まず、他の大学受験用単語帳と比べたときに、情報量が圧倒的に多いです。「とにかく基礎レベルを短期間で習得したい」という場合や、(個人的には英語はどの学部、どの職業でも大切なものだと思っていますが、)「英語は最低限だけできればいい」「なるべく英語以外の教科の勉強に時間を使いたい」という場合は、他の単語帳をオススメします。

また、情報量が多いがゆえ、仕方ないかとは思いますが、レイアウトが辞書のような印象を受けます。「パラパラめくってサラサラおぼえる単語帳」というよりは「しっかり理解・整理してガツンとおぼえる単語帳」というイメージなので、好みは分かれるところなのかと思います。

さらに、もうひとつだけ。この記事を書いている2020年4月現在では、電子書籍の評判はあまり良くないようです。

文字検索ができないのでわからない単語を秒で見つけるといった電子書籍に期待することは一切できません。という訳で巻末の辞書検索を使うしかありません。しかし、極め付けとして、巻末の辞書検索が電子書籍のページと大きくズレています。216pの単語を探そうと電子書籍の216pにとんでも180pの単語が載っているといった具合です。

とのレビューを見かけたので、電子辞書派の方は要注意です。

鉄壁CDは買うべき?

鉄壁CDは、ざっくり言うと、単語帳を読み上げた内容で、単語→日本語訳→例文という構成になっています。

2019年に、河合塾などで英語講師を勤める森田鉄也先生が、著者である鉄緑会・三木秀則先生の元を訪れ、鉄壁の使い方をインタビューされているんですが、そこで三木先生が話されていたオススメの鉄壁CDの使い方は次の2点のようです。

  • 発音を確認する
  • ディクテーションに使う

逆に言うと、暗記用に作られた音声コンテンツではないとも言えます。「発音記号が読める」「リスニングには絶対的な自信がある」という学習者にとっては、どうしても入手しなければいけないというものではないのかもしれません・・・!?(学生さんで参考書を買うお金が制限されている場合とか。)

個人的には、英語の勉強は必ず音声とセットでおこなうことをオススメします。

まとめ

『鉄壁』は英単語帳の最高峰と言えると思います。

本当に、英語指導のプロじゃないと作れない単語帳!!

東大生が勉強するのと感覚で、英語を一生ものの財産にしていきたい学習者には本当にオススメです。