「出版社で働いてみたい」「編集者ってかっこいい」って思っている就職活動中の学生のみなさん、転職活動中の社会人のみなさん!
エントリーシートや履歴書・職務経歴書を書く前にちょっと待って。
編集者と校正・校閲者とライターの仕事って全く違うのをご存じですか?(わたしは出版業界に入るまで知りませんでした汗)
がんばって筆記試験や面接を何回も受けてやっと合格していざ働き出したのに、「思ってた仕事ができない」「こんなはずじゃなかった」ってなっちゃったら後悔してもしきれないですよね・・・。
そんな後悔を生まないように、この記事では、編集者・ライター・校正者&校閲者の違いを解説していきます。
この記事は、語学書・学参系の出版社や編プロでの経験をもとに書かれています。(ソースはわたしです。)文芸系やファッション雑誌など、ジャンルが違うと仕事内容が少し変わってきますので、ご了承ください。
Contents
編集者の仕事
簡単にいうと、本や動画やアプリを作るための仕掛人×調整屋さん。
例えば語学書を作るとすると、こんなひとたちと関わります。
- ライター(執筆者)
- イラストレーター(絵を描いてくれるひと)
- デザイナー(カバーや本全体のデザインを考えてくれるひと)
- DTPオペレーター(ワードとかでつくったデータを入力して、レイアウトを修正するひと)
- 校正者・校閲者
- ネイティブチェッカー(英語が正しいか校正する英語ネイティブ)
- 印刷屋さん
- 声優さん(英語を吹き込んでくれるプロ。主に英語ネイティブ)
- 音声の収録・編集業者さん
このひとたちと連絡を取りあって、仕事の依頼をして、すべての業務がスケジュール通りに進むようにもろもろ調整していくのが編集者の仕事です。
もちろん「こんな本を作りたい」「こんな本が欲しい」というアイデアを形にするのも編集者の仕事だから、企画そのものを考えたり、本のデザインの方向性を考えたりもします。営業部のひとたちといっしょに、本が売れるための販促戦略も練らなければいけません。
アイディアマンやコミュ力に自信があるひと、マルチタスカーは編集者に向いているように思います。
▼参考:編集という仕事を学べる本
▼参考:編集者ならみんな知ってる日本語ルールブック
ライターの仕事
「編集者」の解説のところで「あれ?編集者ってなにか書かないの?」って思ったひとはすごいと思います!!
実は編集者ってもの書きが仕事の中心じゃないんです。出版・編集業界ではもの書きを専門でするひとのことを「ライター」と呼んで、「編集者」と区別します。
ライターに向いてるひとは、文章を書くのが上手なひと(当然だけど)。そして、仕事である以上、いい文章をある程度早く書けるひと。
あとは、ジャンルの知識がちゃんとあるっていうのが大事かな。ライターさんが適当なこと書いちゃうと後々校正者や校閲者が大変になっちゃうんでね・・・汗
語学書の場合は特に、
- 教授
- 通訳者、翻訳者
- 有名塾講師
- 語学系SNSインフルエンサー
などが、ライターとして好まれているように思います。
校正者&校閲者の仕事
2016年に石原さとみさんの主演ドラマ『校閲ガール』でようやく日の目を浴びたのがこの仕事。
校正や校閲は、文字や内容のあら捜しをする仕事です。「この日本語はわかりにくい」とか「この漢字間違えてる」とか「これは事実と違うことを言っている」とか「こんな内容なんの魅力もないから商品にならないんじゃこらぁぁぁあああ!!」とか。
いや、冗談のようで本当の話です笑。いろんな観点からダメ出しをしていくことで、商品が本来あるべき姿となり、多くのひとに満足してもらえるものが出来上がるんです。
それに、嘘の内容書かれてたら、その商品のことも出版社のことも信用できなくなっちゃいますよね。だから本当に大切な仕事。
ちなみに、校正と校閲の仕事って、実はパキっと別れることは少なくて、同じひとが同じタイミングに両方をこなすことが多いんですけど
- 校正=誤字脱字などをチェックすること
- 校閲=事実をチェックしたり、内容を精査すること
っていう認識でいれば業界的にOKだと思います。
校正・校閲に向いているのは、意地の悪いひと笑。そして、「正しい情報を届けたい」「矛盾は許せない」っていう正義感の強いひと。あとは、「よりよい内容にしたい」っていうこだわりをもてるひと。逆に、ライターさんや編集者に気を遣って遠慮しちゃうひとはあんまり向いてないんじゃないかなーって思います。直してもらうのが仕事だし。
▼参考:校正という仕事を学べる本
▼参考:校閲ってこんな仕事っていうのがわかる本
まとめ
どうでしょうか?なんとなくそれぞれの仕事の特徴をつかんでもらえましたか?
求人だと「本が好きな人募集」「編集に興味があるひと歓迎」とか多いと思うんですけど、どの仕事をメインに募集しているのかきっちり確認するのが大事です。
わたしは、校正・校閲の仕事がいちばん好きで、編集の仕事がいちばん嫌いです。校正・校閲は、知識で勝負できるからおもしろい!斬新な発想を考えるのが本当に苦手だから、企画を立てたりカバーのデザインを考えたりしないといけない編集の仕事にはいつも苦しんでいます・・・。(あくまでも個人的な感想です。)
ちなみに、以前、書籍校閲専門の校正会社社長で、『校閲ガール』のモデルになったと言われる柳下恭平さんのインタビュー記事を拝読したことがあるんですが、柳下さんが校閲の仕事について
「0から1以上を生み出すのが作家だとしたら、表現と商業性のバランスを取りながら、たとえば1を100にするのが編集者です。じゃあ、僕たちの仕事とは何か。それは100を100のまま届けることなんです。決して98にはしたくない。あわよくばその作品の価値が101くらいになったら最高だなあって思いますね」
とおっしゃっていて、たしかにそのとおりだなーと思った記憶があります。
出版業界に興味があるみなさん、適材適所で職をゲットしてくださいね!
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いつの日にかみなさんと働けるのをとっても楽しみにしています。